リン脂質ベシクルに対するアミノ酸型界面活性剤の作用 低刺激性で高付加価を有するアミノ酸型界面活性剤の生体への影響を物理化学的に検討するために，モデル膜としてリン脂質ベシクルをえらび，界面活性剤が添加された際の影響を種々の方法を用いて検討した。対照界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウムを使用したが，SDSを添加した際には，低濃度からベシクルに作用するものの，cmcを越えてもベシクルへの吸着はそれほど顕著ではなかった。一方アミノ酸型界面活性剤では，低濃度では殆ど作用しないのに対し，cmc近傍になると急激にベシクルに作用する傾向があることが分かった。つまりSDSのような通常のイオン性界面活性剤では，吸着した界面活性剤間の静電反発のため比較的均一的に吸着するのに対し，アミノ酸型界面活性剤では，アミド基や側鎖の相互作用を介して協同的に作用することが予想される。また側鎖にアミド基を有する界面活性剤では，ミセル形成するとベシクルを可溶化せず，逆にベシクルを保護する傾向があることがわかった。
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