1. 新規ジェミニ型界面活性剤の開発と機能性溶液
 界面活性剤分子同士を連結鎖で繋いだ形のジェミニ型は臨界ミセル形成濃度が低く良好な界面活性を呈するが、機能性の賦与と水溶性の改善が課題である。我々はジスルフィド連結鎖を有する水溶性に優れたジェミニ型界面活性剤を開発し、水溶液中の温和な条件下、ジスルフィド交換による非対称ジェミニ型の生成と会合状態変化を見出した。各種チオール化合物との反応によるカチオン・両性イオン界面活性剤の生成により、分子集合体の崩壊と可溶化物の放出を検討している。

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2. 蛍光プローブ法による会合挙動の解明
 各種蛍光プローブの探索と界面活性剤の蛍光標識により、ミセル内部とバルク水相の両面から会合体構造を検討している。特に、キノリン・アクリジン誘導体の蛍光消光挙動を利用し、ミセルの対イオン結合度の簡便かつ高精度な評価方法を確立した。従来、対イオン結合度は電気伝導度法や起電力法で決定されてきたが、共存イオンや吸着の影響によるデータの再現性が問題となっている。この方法では、高感度でイオン選択的な蛍光消光により、ミセル表面への対イオンの競争的な結合に関する知見も得られる。


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3. 混合ミセル系におけるノンランダム分布
 フルオロカーボン鎖は撥水性と撥油性を兼ね備えるので、通常の界面活性剤との混合ミセル系では2種類のミセルを形成することが予想される。このミクロ相分離現象は溶液論の観点からだけでなく、応用面からも解明すべき研究課題である。フッ素系消光剤を利用したピレンの蛍光消光挙動は、水溶液中で炭化フッ素に富むミセルと炭化水素に富むミセルの共存を明確に示し、共存領域は熱力学的手法である group contribution method により予測できた。分子集合体系におけるミクロ相分離について、蛍光プローブ法、NMR, AFM, SANS等の様々な実験手法で検証している。

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