研究概要・目的
有機薄膜を用いた光エネルギーの変換に関する研究
(中野 1C712, 実験室: 1C720・1C721)
我々は、有機物を用いた太陽電池(「有機薄膜太陽電池」)の研究を行っている。
「有機薄膜太陽電池」は次世代の太陽電池として注目されており、従来のシリコン太陽電池と比べて、以下のような長所を持つ。
1. 薄く、軽量(太陽電池1gあたりの発電効率は1000倍以上)
2. 印刷による大量生産が可能
3. 柔軟で、曲げることができる
4. 室内光で発電が可能
一方で、「有機薄膜太陽電池」は発電効率が低いことと、大気中での素子安定性が低いことが実用化の課題となっている。最近の研究によって発電効率の問題については解決されつつあるものの、素子安定性の問題は依然として解決されるべき課題として残されている。
我々は容易に作製でき、大気中で高い耐久性を示す「逆型有機太陽電池」を世界で初めて発表した。さらなる高耐久性素子および高効率を示す素子の実現を目指し、研究を進めている。
新規機能性電極材料への研究
(山口 1C713, 実験室1C722)
修飾電極は触媒作用,選択的反応性,トランデューサ,センサなどの機能を保持しており,広い学問分野及び応用分野にその展開が期待されている。新機能修飾電極を作るために,種々の高分子材料に機能性分子を含有固定したり,高分子自体を機能化させたり,機能性分子の単層吸着などにより高集積・高配向の反応活性中心を有する修飾電極の検討が必要となる。しかし,その特異的な現象をさらに発展するためには「電子移動プロセス」と「分子認識」を実験的・理論的に理解しなければならない。次世代の修飾電極を考えるためには界面と空間,双方の分子認識と電荷輸送機構を理解することで,新規修飾電極の設計が容易に展開できると考えられる。従って,本研究グループでは「電子移動プロセス」と「分子認識」をキーワードとして,電気化学的手法を用いて高分子修飾薄膜,自己組織化膜修飾電極における特異的な反応を膜内電荷移動メカニズムや分子間相互作用の観点から検討している。この様な金属/有機膜/溶液系の電荷の移動機構を解明することによって,電子や物質の輸送,化学反応の制御を目的とした化学修飾電極材料を設計・開発することを目指している。
金沢大学ナノマテリアル研究所(NanoMaRi)
有機物薄膜の分子配向制御とペロブスカイト太陽電池の研究
(當摩 1C510・ソヘル 1B512, 実験室: 1C524)
有機薄膜は分子により構成されている。分子の並び方(結晶性)や分子の向き(配向)により太陽電池の特性は大きく変化する。本研究グループでは結晶成長の制御とその分子配向制御により分子の存在能力を引き出した高性能太陽電池の作製を行っている。さらに、シリコン太陽電池を凌ぐ性能を発揮するるペロブスカイト太陽電池や塗布法やプラズマ製膜を導入した新規無機化合物薄膜作製技術の開発を行っている。
本グループはナノマテリアル研究所 創エネデバイスグループと新学術創成研究機構 再生可能エネルギーユニットに属しており、電気化学研究室の共同で研究を推進している。