■研究概要■

我々の研究室では、世界で初めて人工的に合成された高分子である、フェノール樹脂を用いた研究を行なっています。また、カリックスアレーンやシクロデキストリンなど、様々なゲスト分子を取り込む環状分子と、無機微粒子やナノ炭素材料とのハイブリット材料、超分子構造の構築を行なっています。最近では、当研究室で合成された新規環状化合物pillar[5]areneの新規性能の発見にも力を入れて研究を進めています。


■研究テーマ■

高分子量フェノール樹脂の合成

種々のフェノ−ル化合物をモノマ−として,高活性条件の下で超高分子量ノボラックなどを開発している。 また多環芳香族フェノールからなるフェノール樹脂の合成を検討し,従来にない超耐熱性芳香族系高分子の開発を行っている。 フェノール樹脂の機能化を目的として,高い反応性を有する反応性フェノール樹脂の合成を行い, 高分子反応により機能性物質や高分子の導入について検討を行っている。 さらに最近は、特殊反応溶媒であるイオン液体を用い、フェノール樹脂の合成に成功した。




新規環状ホスト分子の合成及び超分子構造の構築

カリックスアレーンは、構成単位がメタ位でメチレン結合により連結したカップ構造の環状ホスト分子である。 我々は最近、構成単位がメタ位ではなくパラ位で連結した新規環状ホスト分子”Pillar[5]arene”の合成に成功し、 そのホスト−ゲスト化学について研究を進めている。




フェノール樹脂を基にしたハイブリッド材料創成

フェノール樹脂のさらなる高機能化を目的として、フェノール樹脂と無機物・炭素材料とのナノレベルでの複合化を行い、従来にない高性能フェノール樹脂の開発を目指している。




環状ホスト分子を基とした高分子の合成と機能化

構造と物性との関係を解明するため,構造が明確で重合度が制御された線状及び環状オリゴマーを合成し, 分子特性解析を行っている。最近,重合性を有する新規環状オリゴマーを合成し,その重合反応を検討している。 機能の解析として,新規環状オリゴマーおよびその重合物の超耐熱性や選択的イオン捕捉を可能とする機能性分離材料について検討している。 さらに,共有結合を介さないポリロタキサン型分子など特異な立体構造を形成する複合体を合成し, その構造と性質について解析している。




カーボンナノチューブ・無機ナノ粒子−環状ホスト分子からなる
ハイブリッド材料創成

ナノ炭素材料であるカーボンナノチューブとシクロデキストリンやカリックスアレーン、 ククルビツリル等の環状ホスト分子からなるハイブリッド材料の創製を行っている。 また、無機ナノ粒子と環状分子とのナノ複合体の構築を行っている。




液晶性セルロース誘導体−有機高分子ハイブリッド

液晶構造を形成するセルロース誘導体と,熱可塑性を有する高分子からなる複合体の,相溶性と液晶性について系統的に検討を行っている。